「週刊文春」発売禁止命令の取り消し決定
●「週刊文春」発売禁止命令の取り消し決定 東京高裁
http://www.asahi.com/national/update/0331/022.html
出版物の事前差し止めは原則的に認められない。但し、記事の内容が「一定の要件」を満たした場合に限っては、許されるという。
差し止めが許される要件は、次の3点。
- 公共の利害に関するものではない
- 掲載に公益目的がないことが明白
- 公表されることで書かれる側は著しく回復しがたい重大な損害をこうむる
今回の場合、記事には公共性・公益性とも認められず、プライバシーの侵害はあった。ただし、「事前差し止めを認めなければならないほどの重大な損害が出る恐れはない」。よって東京高裁は、仮処分命令を取り消す決定を下したという。
しかし、これは大きな問題では? 結局、1、2の要件に関わらず、公表された記事が「重大な損害」をもたらさない限り、差し止めには至らないと宣言しているのだから。これでは記事を公表したモノ勝ち。プライバシーが無制限に侵害される危険性が高まったのでは?
当事者である長女側は決定を不服としていて、最高裁への許可抗告と特別抗告を検討しているということだが、是非とも最高裁まで行って欲しいと思う。
ところでこの記事について、実際に目にした人達(とくにマスコミ関係者など)の意見は次の2つにまとめられるようだ。
- 記事の内容は大したものではない。
- 地裁が差し止めを認めたのは、長女が有力政治家の娘だから。
もし政治家の娘でなければ差し止めされなかったのでは?という意見を多く目にした。しかし、逆ではないのか? 大した内容ではないものがなぜ記事にされたのか? つまり、政治家の家族の問題だったから。しかし、だからといって、普通なら記事にもならないようなことが記事にされる、即ちプライバシーが侵害されることを認めてもいいのだろうか?
……といっても、世間はプライバシー侵害が大好き!なようで文春ほぼ完売だし。問題の号は77万部のうち74万部が流通ルートに乗り、未出荷は3万部のみ。普通ならもっと売れ残っているような。しかし、実際購入した人達のうち、とりわけ普段なら買わないような人達のうち、読んで満足したって人の割合はどれだけなのか?
差し止め云々も結局この未出荷3万部だけが対象なのだし。結局のところこの事件、文春がひとり丸儲け?(笑)